●フィリピン・パヤタスで暮らす子どもたち
今回、私たちはフィリピン・ケソン市、パヤタスで暮らす子どもたちを対象に活動を行う。私たちEco-Habitat関西学院は、2006〜2009年と毎年フィリピンを訪れた際、現地で活動するSalt（ソルト）という特定非営利活動（NPO）法人が主催するスタディツアーに参加している。私たちはこのスタディツアーを通してパヤタスの子どもたちの現状を知り、その子どもたちがより良い生活をおくれるように何かしたいという思いから今回の企画に至った。
パヤタスとは、都心から２０キロ離れたマニラの郊外にあり、世界の三大スラムの一つとされている。そして、そこにはマニラ首都圏の約700万人が出すゴミが運び込まれ、現在では約17ヘクタール（東京ドーム約3,7個に相当）にも広がり、未だに1日3000〜6000トンものゴミが毎日運ばれている。そのゴミの山が自然発火して、常に煙を上げていることから、「スモーキー･マウンテン」と呼ばれている。そのような強烈な悪臭と暑さの中、ゴミの中からリサイクルできる物を拾って廃品回収業者に売り、わずかな収入を得て生計を立てる「スカベンジャー」と呼ばれる人々がおり、中には家計を助けるためにゴミを拾う子どもたちもいる。
スタディツアー（家庭訪問）の様子（2009/3/7）
スモーキーマウンテンの様子
●Salt（ソルト）
フィリピンのケソン市、パヤタス・カシグラハンの巨大なゴミ捨て場で働く子どもたちへの奨学金支援を目的に1995年に設立された民間の特定非営利活動（ＮPＯ）法人である。貧しいゆえに教育の場から遠ざけられ、その将来も無視されている子どもたちに就学の機会を提供しようと、アジア文化交流センター（ＡＣＣＥ）の協力を得て誕生した。そして、Salt（ソルト）は「国の枠を超えて、お互いを思いやり、共感、共存していこうとする人々の輪を広げる」という目的を持って活動している。
【活動の柱】
◇「子ども」と「女性」が希望を持って生きられる環境づくりを目指す
◇現在、貧窮している人々に対し、自立を促す住民参加型支援を行う
◇支援を通じて関わる人すべてが相互に学び合い、心の交流を図る
◇貧困を生む原因や背景について考え、その解決のために行動する
またSalt（ソルト）は、奨学金プログラム、保健・医療援助プログラム、生計向上支援プログラム等を通して、ゴミ山で暮らすことを余儀なくされた人々や、貧困に苦しむ人々に対する自立促進、住民参加型支援を行っている。さらに、活動内容の一つに私たちが毎年参加しているスタディツアーがある。Salt（ソルト）はこれらの援助、交流活動を通じて、多くの人に貧困の現状を伝え、その背景・原因について考え、その解決のために行動していく人々の輪を広げるということも行っている団体である。
●Salt（ソルト）で働く女性生産者たち
今回、私たちはSalt（ソルト）で働く女性生産者たちを応援することで、子どもたちの生活をより良くできるのではないかと考えた。その理由として、スモーキーマウンテンの周辺地域で暮らす子どもたちの中には教育はおろか、生きること自体が困難な子どももいる。そこで彼/彼女たちの母親を支援することで、衣食住の面からも教育の面からもサポートすることが可能となり、子どものニーズに合わせた活動ができると考える。この女性生産者とは、ゴミ拾いに代わる収入源としてフィリピンの伝統工芸技術であるクロスステッチという刺繍のトレーニングを行い、製品の製作・販売を通じて生計自立の支援を行うというプログラムの対象となる女性の方たちである。現在約20人いる女性生産者のほとんどは刺繍からの収入を自分の子どもたちの学費や通学費といった教育のために使っている。彼女たちの収入が増えることで子どもたちもスカベンジャーになる必要がなくなり、教育の機会にも恵まれる。そして、今も彼女たちは子どもたちの夢のことを一番に考えて仕事に励んでいる。
以下はSalt（ソルト）で働くエディッサ・マカスーシーさん のメッセージ
http://www.salt.or.tv/index.html